北欧ハーフがスウェーデン映画『サーミの血』を観た感想

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こんにちは。北欧移住日誌のNile(ないる)です♪

この記事では、サーミ人の血を引いている私が、サーミ人への差別を題材にした映画『サーミの血』を観た感想について書いています。

北欧映画『サーミの血』

『サーミの血』は、ラップランドに住む少数民族、サーミ族への差別を描いた映画です。

舞台は1930年代のスウェーデン北部。

サーミ人の少女、エレ・マリャはサーミ語が禁止された寄宿学校へ通い、差別の中で見世物の様な扱いを受けながらも、教師になることを夢見る。そして寄宿学校の先生に、進学の為に推薦状を書いて欲しいと頼むが「あなたたちの脳は文明に適応できない」と言われてしまう。そんなある日、スウェーデン人のフリをして潜り込んだダンスパーティーで出会った青年ニクラスを頼りに街を出る…

映画『サーミの血』予告編

サーミ人について

サーミの旗

サーミ人は、ラップランド[スカンジナビア半島北部(ノルウェー・スウェーデン・フィンランド)及びロシア北部のコラ半島]に住み、狩猟・遊牧をおこなう先住民族です。独自の言語であるサーミ語を持っていますが、ほとんどのサーミ人はノルウェー語、スウェーデン語、フィンランド語、ロシア語なども話します。

この映画を観て

わたしもサーミの血を引いているので、この映画で自分の祖先が受けていた扱いについて知ることが出来ました。

祖母は、自分のルーツがサーミにある事を殆ど語らなかったと母が言っていました。今回この映画を観て、主人公のクリスティーナ(エレ・マリャ)がサーミ人であることを隠していたのが祖母と重なり涙が出ました?

祖母の気持ちが少し分かったような気がします…。

これからも、サーミについて積極的に知りたいなと思いました!

この映画は差別について、とても考えさせられる映画です。

みなさんにもぜひ観てもらいたいです。そして、本作品を見終わった後には、ぜひ最初のシーン(過去に戻る前)を見返して欲しいなと思います。

きっと1度目とは違った感じ方がすると思いますよ。


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『サーミの血』の感想(この先ネタバレあり)

主人公のエレが寄宿学校に通うなか、道ですれ違っただけで悪口を言われる。学校では問題を間違えたり、サーミ語を使っただけで叩かれる。そんな環境が実際にもあったんだと思うと、とても悲しくなりました?

また、サーミ人の女の子たちが動物のように扱われているシーンにはかなり衝撃を受けました…。

エレが出来心で先生のワンピースを着た途端、通りがかった男性に「踊りに行かない?」と言われ、いい気分になったエレはスウェーデン人になりすまして行ってみる事に・・・ダンスパーティーでニクラスという青年と出会い、恋に落ちたエレ。

二人がいい感じだったので、悪いことだけが続く映画ではないのかな?とすこし期待。

自由を求め、スウェーデン人のフリをした事で、妹や他のサーミの子達から「裏切り者」として白い目で見られるシーンはとても悲しかったです?

そんなエレは教師になる夢ができ、進学を先生に相談するが「あなたたちの脳は文明に適応できない」と言われてしまう。

サーミ人に生まれたというだけで、自分の未来を選べないというのは悔しいですよね(._.)

サーミとして生きていくのが嫌になったエレは寄宿学校を飛び出し、ニクラスが住む街へ行く。

すぐに行動に起こすエレの行動力がすごい!この場面を観ているときは、ニクラスと一緒になって冒頭の未来に繋がるのか!なんて思っていました・・・。

ニクラスの家に泊めてもらい、彼と体の関係になるが・・・エレがサーミ人と分かるとあっさり離れるニクラス。

2人がくっついてハッピーエンドだと思っていたのに、エレがサーミ人だと分かった瞬間冷たくなるニクラス…その後もエレのことを内輪で話のネタにしていたのに、2人きりの時には優しくしたり、所詮体目当てだったのか…と?

さいごに

この作品は、最初から最後まで暗く悲しい雰囲気の映画でした(._.)

後半に出てきた人類学を専攻しているという女の子達が、「ヨイクを歌って」と言う場面では、子供の頃によく「外国語を話してよ!」と周りから揶揄われていた事と重なって、わたしは観ていてとてもつらかったです。

サーミ人に生まれたが為に、周りのスウェーデン人のような自由な生き方が許されない・・・。そんな運命に抗い立ち向かうエレの姿勢はとてもかっこよくみえました。でもその結果、エレ自身もサーミ人を差別するようになり、彼らからも嫌われている事がとても悲しい。
最後に妹の遺体に寄り添って「私を許して」というシーン、彼女は何を考えていたんでしょう?

今回はここまで。